生活習慣病とは
毎日の生活習慣が発症や進行に関与する疾患群で高血圧、コレステロール異常、糖尿病、痛風、肺気腫、睡眠障害などが該当します。生活習慣病によって動脈硬化を引き起こすと、心臓や脳などの重大な疾患につながる恐れがあります。
また、生活習慣病は発症しても自覚がなく、診断を受けたときには病状が進行しているケースが少なくありません。
高血圧
上の血圧が140mmHg以上または下の血圧が90mmHg以上の場合、あるいはこれらの両方を満たす場合に診断されます(ご自宅では-5mmHg)。そのままにしておくと動脈硬化が進行して脳卒中や心臓病、腎臓病など重大な病気になる危険性が高まります。自覚症状に乏しいため注意が必要です。
高血圧には遺伝の要因が60%あるといわれています。ご家族に高血圧の方が多い場合は、ご家族も高血圧が起こりやすくなるので、機会をみて血圧を測るようにし、高い場合は受診してみることをおすすめします。
脂質異常症
血液中にふくまれるコレステロールや中性脂肪などの脂質が、一定の基準よりも多い状態のことをいいます。主に3タイプあり、LDL(悪玉)コレステロールが多すぎる、HDL(善玉)コレステロールが少なすぎる、中性脂肪が多すぎる、状態があります。
血液中に余分な脂質が多くなると、動脈硬化を起こしやすくなり、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高くなります。高血圧や糖尿病を合併していると動脈硬化がさらに進行しやすいといわれています。脂質異常症には、自覚症状はほとんどありません。そのため気づくのが遅れ、病状が悪化することがあります。
毎日の生活(食事や運動)に気をつけることと、健康診断などで「脂質異常症の疑いがある」といわれたときは、放置せずに早めに受診することをおすすめします。
糖尿病
インスリンが十分に働かないために、血液中を流れる糖が増えてしまう病気です。血糖値が何年間も高いままで放置されると、血管が傷つき、将来的に心臓病や脳卒中、手足のしびれ、失明、腎臓障害、足の壊死などといった、より重い病気につながります。運動不足や食べ過ぎが原因で肥満になると、インスリンが働きにくくなります。
糖尿病の症状は、のどが渇く、頻尿、体重減少、疲れやすくなる、などがあります。症状がまったくないまま健診などで糖尿病が判明する場合もあります。
治療には生活習慣の改善をはじめに、状態に応じて飲み薬やインスリン注射があります。気になる方は早めの受診をおすすめします。
痛風
血液中の尿酸値が高くなり(高尿酸血症)、足や膝などの関節に尿酸が析出し、関節の痛みや腫れをきたす病気です。原因は様々です。体質的に尿酸を排泄しづらい、尿酸の元となるプリン体・果糖を含む食事の摂取が多い、尿酸を尿として排泄できる量が少ない(脱水や腎臓障害など)、利尿薬などの薬剤の影響などがあります。尿酸が長い間蓄積すると、痛風だけでなく、腎臓障害や尿路結石の原因にもなります。また、近年では、高尿酸血症は、高血圧・心・脳血管病のリスクとなる可能性も示唆されています。
痛風発作急性期の治療は、痛み止めによる対症療法になります。症状が治まれば、飲み薬などによる高尿酸血症の治療を行います。
肺気腫
肺の構造が壊れて空気がたまってしまい、息を吐きづらくなる病気です。進行すると少し歩くだけでも息苦しくなります。心臓に負担もかかりやすくなるため、心不全を合併することもあります。一番の原因は”たばこ”です。たばこによって肺の組織が壊され、空気をうまく外に押し出せなくなり息苦しくなります。他には遺伝性、大気汚染や生活環境が原因となることがあります。
診断は、症状や生活歴に加え、レントゲン検査などから総合的に判断します。
一度壊れてしまった肺は元には戻りません。そのため治療は、今後の症状進行を防ぐことと、症状の緩和を目指します。吸入薬や痰を切れやすくする薬を内服して頂きます。症状が強い時は自宅での酸素吸入が必要になることもあります。
睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群)
主に睡眠中に空気の通り道である喉の奥(上気道)が狭くなることによって無呼吸状態や大きないびきを繰り返す病気のことです。睡眠中の無呼吸やいびきによって良質な睡眠が妨げられ、日中の眠気だけでなく、頻尿や頭痛、倦怠感の原因にもなりえます。また、睡眠中に体内の酸素量が不足することで全身のさまざまな部位に負担をかけ、心筋梗塞や脳卒中など命に関わる合併症を引き起こしやすくなるといわれています。
診断は、睡眠の質や睡眠中の呼吸の状態を調べます。当院ではご自宅で実施可能な簡易的な検査を実施し、必要に応じて地域の病院に精密検査のためご紹介させて頂いております。治療は、睡眠中にマスクから強制的に空気を送り込んで狭くなった気道を広げる経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)やダイエットなどの生活習慣の改善を促す生活指導があります。